※この記事には、作品の内容に関する記述が含まれます。 イギリスの『サンデー・ミラー』紙は1997年8月10日、ダイアナ元妃とドディ・アルファイド氏が地中海をクルーズするヨットの上でキスしている写真を掲載しました。その記事のタイトルは、「ザ・キス(THE KISS)」。 【写真】ダイアナ元妃の「最後の90日間」に何が起きた!? 写真で辿る 写真を撮影したのは、イタリア人カメラマン、マリオ・ブレンナ氏でした。ダイアナ元妃と新しい恋人の関係を明らかにしたことで、ブレンナ氏が手に入れた金額は、およそ300万ポンド(当時の為替レートで、およそ6億円)だったとされています。 Netflixの人気ドラマシリーズ『ザ・クラウン』のシーズン6では、ブレンナ氏がこの写真を撮ることができたのは、その高級ヨット「ジョニカル」の所有者、ドディ氏の父親で、高級百貨店ハロッズの当時のオーナー、モハメド・アルファイド氏からの情報提供があったためとされています。 ですが、それが事実だったという証拠はありません。実際のところ、最新シーズンのエピソードを見たブレンナ氏は、自身がモハメド氏から「雇われていた」という話について、「ばかばかしい、完全な作り話」だと語っています。
問題の写真が公開された当時、『インディペンデント』紙は、「モナコ在住のイタリア人、ブレンナ氏(40)は別の写真撮影の仕事でその地を訪れており、アルファイド氏の船ジョニカルを、たまたま見つけた」と報じました。 そして、ブレンナ氏はロンドンを拠点に活動するカメラマンのジェイソン・フレイザー氏に連絡。イギリスでそれらの写真を売ることについて、助けを求めたとしています。 また、この記事はフレイザー氏について、「かつて、ダイアナ妃が出席していたディナーパーティの会場からまったくの他人と同時に出てきたところを写真に撮られたことで気分を害したとき、撮影した写真のフィルムを差し出したことがある」と伝えていました。
また、『サンデー・ミラー』紙の記事については当時、2人に関する情報をパパラッチに流したのは、実際のところダイアナ元妃に近い人物だという噂が流れていました。 (2003年に出版されたダイアナ元妃の伝記)『ダイアナ:ストーリー・オブ・ア・プリンセス(原題:Diana: Story of a Princess)』の共著者、ティム・クレイトン氏とフィル・クレイグ氏は著書のなかで、次のように述べています。 「(2001年に発売された回想録『Diana: Her Last Love』の)著者であるケイト・スネル氏は、ダイアナ元妃は(別れたばかりだった恋人の)ハスナット・カーン氏を嫉妬させたかったのだと考えています。そのためマリオ・ブレンナ氏に、クルーズ中にキスしている写真を撮らせたのだとしています」 「ブレンナ氏は、ロンドンを拠点とする同業者のジェイソン・フレイザー氏からひそかに情報を得て、行動していました。ダイアナ元妃が地中海に向けて出発する前日、フレイザー氏は元妃に近い人物から電話で、旅行のことを知らされていました」 「フレイザー氏はヨットの名前、誰が同行するのか、2人の姿が目撃できるのはどの辺りかといったことも聞いていました。その電話の相手は、元妃の写真が撮られても、誰も苦情を申し立てたりはしないと明言しました」 「ブレンナ氏はただ、コルシカ島に向かう船の後を追い、その瞬間を待っていればよかったのです。撮影された写真の中には、わずか約10メートルの距離から撮られたものもありました」 『ニューヨークタイムズ』紙は、『ザ・クラウン』のリサーチチームが最も“本当らしい話”だと考えたのが、「アルファイド氏の使用人のひとりが、ヨットの位置をブレンナ氏に教えた」ということだったと伝えています。
ダイアナ元妃の「キス写真」流出、パパラッチは誰かに雇われていた説が浮上
「きっと信じられないと言うよ、座った方がいいかもしれない」──その後に起きたこと
その後に起きたことは、すでに広く知られているとおり。ブレンナ氏が写真のことをフレイザー氏に伝え、報道各社にフレイザー氏が連絡を取り、写真を手に入れるための競り合いが始まりました。 フレイザー氏は、このときのことについて『メール』紙に対して2013年、次のように語っています。 「何の写真を撮ったのか、マリオは電話では教えてくれませんでした。ロンドンに到着し、私の家に来て、そしてこう言いました──きっと信じられないと言うよ、座った方がいいかもしれない」 「……私たちはそれらの写真をキッチンの床に広げて、黙って座り込みました。どうすればいいか、わかりませんでした」 「ダイアナ元妃が撮らせたかった写真だということはわかっていました。ですが、(それらを公開すれば)すべてが永遠に変わってしまうこともわかっていました。私は人々が元妃に対して抱くイメージを、変えたくありませんでした」 ブレンナ氏がどのようにしてジョニカルを見つけたのか、真実はいまだ、明らかにされていません。