ヒズボラの判断に影響を与えるのは、後ろ盾となっているイランだ。イランは、ハマスの攻撃への関与についても疑惑がくすぶる。ヒズボラはハマス以上にイランとの関係が深く、エジプトのイスラム組織研究者タリク・シャビシ氏は「ヒズボラの判断はイランの決定次第だ。ヒズボラが参戦すれば、中東全域が絡む際限のない紛争になりかねない」と指摘する。
ヒズボラは2006年のレバノン紛争でイスラエル軍と大規模戦闘を繰り広げた。シリア内戦で政権側につき、実戦経験を積み重ねてさらに強大化したとされる。イスラエルにとっては「イランと並ぶ脅威」(タミール・ハイマン国家安全保障研究所長)となっている。戦線拡大はイランとの緊張を高めることになり、何としても避けたい展開だ。
サウジ・イラン 結束強調…電話首脳会談 パレスチナ支持
【カイロ=西田道成】サウジアラビアの実権を握るムハンマド・ビン・サルマン皇太子とイランのエブラヒム・ライシ大統領は11日、電話会談し、パレスチナ自治区ガザを巡る情勢について協議した。イランとサウジの両国営通信が伝えた。3月に両国が国交正常化で合意して以降、両首脳が電話会談するのは初めて。
イラン国営通信によると、両首脳は「パレスチナに対する戦争犯罪を阻止する必要性」について議論し、イスラム圏の結束を強調した。サウジ国営通信によると、皇太子はパレスチナを支える立場を示し、「情勢緊迫化を止めるため、可能な限りの努力をしている」と述べた。
サウジは米国の仲介で、イランと敵対するイスラエルとの国交正常化交渉を進めていた。イスラエルとイスラム主義組織ハマスの軍事衝突を受け、交渉が難航するとの見方があり、イランには会談を通じてサウジを引き寄せる狙いもありそうだ。