9月27日におこなわれる自民党の総裁選挙に向けて、8月27日に出馬表明会見をした河野太郎デジタル大臣。そこで語られた経済政策「民間主導の経済成長」について詳しく聞いた。 【映像】19歳、若い頃の河野大臣(写真あり) 政治ジャーナリストの青山和弘氏は、これまでの自民党による“ばら撒き型”の経済運営を取り上げつつ、河野氏の経済政策について「党内でハレーションが起こり得るし、大きな転換だと思う。躍動感のある労働市場を作るというのは、労働市場を自由化して、今後発展が見込めない企業から、発展しそうな企業に働き手を移していくこと」と発言。続けて「これは中小企業を守ることばかりをやってきた自民党にとって、すごい改革。党内の反発は強いと思うが、その覚悟はあるのでしょうか」と質問。 これに対し河野氏は「金利がどういうペースになるかは別として、今のインフレ基調が続いていけば 金利は上がっていく。今まではデフレ基調で、金融緩和と財政出動でデフレから脱却しようというのがアベノミクスでしたけれど、もはやインフレ基調になっていますから、国の借金の利息の支払いが増えていく。今までのような使い方をしていれば、利払いで首が回らなくなる」とした上で「財政規律をきちんと取り戻すのが大事で、今予算でやっている事業の中で効果がないものは積極的にやめていこうとしないといけない」と主張した。 さらに「今回のコロナ、その前のリーマンショック、アジア通貨危機と10年に1回ぐらい 危機が来る。危機が来た時は政府が財政出動をして皆さんの生活を支えなくてはいけない。しかしのべつ幕なしにやっていたら赤字はどんどん増える」として「平時は民間企業が頑張ってくださいと。有事の時は政府が生活を下支えをする。だから、平時には財政の余力をちゃんと作っていく。今はそういう時期になってきている」と述べた。 中には、デフレ脱却の瀬戸際にいる今、財政を引き締めるのは早いとの考えややるのはよくないという主張もあるが、もはや財政規律の方に行くべきと考えているのかとの問いに「財政規律の方に行かなければいけない。それから労働市場改革も」と回答。 「例えば、企業の中でブラウン管のテレビを作っていたが、もう誰も買ってくれないとなると、その部門はやめないといけない。じゃあそこで働いていた人をどうするか。その人たちに積極的に新しいスキルを身につけてもらって、付加価値の高いところへ移動してもらう。焦点を“働いている人”にあてる政策が大事」 続けて「効率が上がらない企業は一回終わりにして、そこで働いている人はセーフティーネットで生活を保障しながら、新しい技術を身につけてもらう。今はこういう時期でどこも労働力が不足していますから」としつつ「企業の経営者は個人補償をしている人がいて、なかなか潰せないというところもある。その個人保証を早く足抜きをしてあげるということもセットでやっていく。守るのは企業ではなくて人なんだと。その仕組みを作っていけば、単にベアで賃金が上がるだけでなく、次に付加価値の高い、賃金の高い仕事に移れるようになれば、皆さんの給料も上がっていく」と説明した。 これを受けて青山氏は「付加価値を生み出せない企業は潰してもいい、それで新しい産業に移していくというのは、生産性が低いと言われる日本にとっては大事な改革だが、やはり血を見る改革。これで議員票が取れるかは心配」と発言。河野氏は「議員の中のハレーションはあると思うが、世の中的にはまず意図をしっかり理解をしてもらわないといけない」と応じた。 「今、企業が正規雇用を増やしたくないのは、業績がうまくいかない時も、その人たちを抱え込んだままやっていかないといけないから。結局、契約社員、派遣社員、パートになってしまいがち。正規雇用の人とそれ以外の人とで、待遇や賃金はすごく格差ができていて、この社会の分断を生みかねない。短い時間で子育てをしながら働く人、介護をしながら働く人、 長い時間働ける人、いろんな人生のステージによっての働き方がある。正規雇用か非正規雇用か、二つに一つとなってしまうと選べない。正規、非正規の区別なく、いろんな働き方ができる流動性、上がったり下がったりいろんなことができる労働市場を作っていきたい」 (『ABEMA的ニュースショー』より)